腰痛にストレスが関与している!?日本整形外科学会と日本腰痛学会がまとめた診療ガイドライン(指針)によると、腰痛の発症や慢性化には心理的ストレスが関与しており、画像検査などでも原因が特定できない腰痛が大半を占めるという。指針によると、腰痛は発熱や胸部痛といった危険信号の有無などで、?がんや外傷、感染などの重い脊椎疾患が疑われるもの?まひやしびれ、筋力の低下など神経症状をともなうもの?原因が特定できない非特異的腰痛に分類することが重要とした。なかでも非特異的腰痛は、いわゆるぎっくり腰やストレスが原因となっているものを含み、全体の85%を占めるとの研究があるという。そんな非特異的腰痛は、職場での人間関係や仕事量の多さ、仕事上の不満、うつ状態など心理社会的要因が関与している強い証拠があると指摘。ストレスを軽減するために、ものの考え方を変える認知行動療法などの精神医学療法が有効だとした。また、安静は必ずしも有効ではなく、非特異的腰痛ならできるだけ普段の動きを維持した方が改善につながるという。発症から3か月以上たった慢性腰痛には運動療法は効果があるとした。腰痛診療指針のポイントガイドラインが出される以前は腰痛の診療方針は確立されておらず、個々の医師の経験や勘により行われてきたケースが多い。バラバラだった診療を、科学的な根拠に基づいて統一。2001年以降の国外の医学論文4千件から選んだ約200件を基に、両学会の専門家が医師向けに策定した。重篤な脊椎疾患の兆候がない限り、すべての患者に画像検査をする必要がないとしている。なお、画像検査に頼ると患者に症状について誤解した認識を与えてしまい逆効果になることもあるという。福島県立医大の矢吹省司教授の話。『患者が望むこともあり、現状では約8割で画像検査をするが、画像で原因が分かることが実は多くない。単に加齢で起きている骨や神経の変化が画像で患者に示して「だから状態が悪いんだ」と思い込ませるのは逆効果だ。慢性腰痛では、深刻に考えすぎて安静にするよりも、体を動かしたほうが症状が軽くなる可能性が高い。』