病院や診療所を運営する法人で、1950年の医療法で創設した。
法律を作る当時、個人に頼った医療機関は経営が行き詰まることも多かった。このため、法人格を与え、安定的に経営ができるようにする目的があった。
医療法で定めた範囲に限り、薬局や有料老人ホームなどの医療以外の業務を手掛けることができる。
病院全体でみると、医療法人は全体の7割弱を占める。医療法人は2014年3月末で約5万。
※国立病院や自治体などが運営する公的病院は医療法人ではない。
中小零細も多く、政府の社会保障制度改革国民会議は医療法人の合併・再編を提言している。
医療法人のトップである理事長は、医師資格を持っていることが原則だ。
例外的に都道府県の知事の認可を受けた場合は、医師や歯科医師でない理事から選ぶこともできる。ただ、都道府県によっては事実上医師以外を認可しない運用も見られる。ほとんどの理事長は医師出身だが、金融機関の出身者などもまれにいる。
(日経新聞2014年10月4日記事抜粋)
【学部新設・子育て支援進む】
大卒の看護師が急増している。2014年の国家試験合格者に占める割合は約30%で、この10年で2倍になった。看護系学部の新設に加え、勤務体系の改善や子育てとの両立支援など、女性が働くための環境整備が進んだことも背景にありそうだ。
看護師になるには、大学や専門学校で必要な学科を習得するなどした後、国家試験を受ける必要がある。大学では一般教養に比べ、患者の症例に併せた看護方法を議論するなど、さまざまな授業を取り入れているところもある。
国家試験合格者に占める大卒者の割合は1999年にはわずか4.6%だったが、人手不足を背景に看護系学部の新設が相次ぎ、05年に14.8%、14年には29.7%に増えた。女性は全体の約94%(12年)。
かつては激務が続いた看護の職場も、少しずつ改善されている。日本看護協会は13年にガイドラインを作成。@夜勤時の仮眠時間の設定A夜勤後の24時間以上の休息確保B勤務の間隔は11時間以上とするなどの具体策を盛り込んだ。出産後も働けるように、院内保育も普及している。
看護師の活躍の場は広がりつつある。国は在宅医療への転換を推進しており、訪問看護のニーズは高い。医師が示した手順書に従って、脱水時の患者の点滴など、特定の医療行為を担う看護師の養成も今後始まる。
京都大の任和子教授(看護学)は「結婚や子育てで仕事を辞めざるを得なかった母親らが、娘に進学を勧める例も目立つ」と話す。
日経新聞2014年12月9日記事